「タバコが身体に悪いのは充分知っているし出来るものなら禁煙したいが、やめられない。」外に出れば分煙・禁煙が当たり前になりつつある今、そんな風に思いながらタバコを吸っている人も多いでしょう。それでも禁煙できない・・・それは決して「意思の弱さ」だけの問題ではありません。
*ニコチン中毒について・・・ここで言うニコチン中毒とは、喫煙を続けることにより、常に血液中に一定のニコチン量がないと、気分が落ち着かない・不安感・集中力低下などの症状をおこし、喫煙をやめることの出来ない状況をいいます。
誰でも初めてタバコを吸った時は、めまいがしたり咳き込んだり動悸がしたり・・と不快な経験をしていると思いますが、それでもなお喫煙をし続けると、カラダは血液の中に常にニコチンがある状態に慣れてしまい、逆にニコチンなしでは頭が正常に働かない、落ち着きがなくなる、イライラ感などの症状が出てしまう中毒性をニコチンは持っています。
そうした症状を「身体的依存」と言い、タバコを吸いニコチンを吸収することで一時的には落ち着きますが、時間の経過とともに血中のニコチン量が減少するにつれ、また同じように症状がでてきてタバコが吸いたくなります。
またタバコを吸い、肺から血管の中に入ったニコチンはわずか3秒で脳まで到達しますが、その際にニコチンは中枢神経に刺激を与え、興奮作用や鎮静作用をもたらします。起き抜けの一服でアタマがスッキリしたり、緊張している時にタバコを吸うと気分が落ち着くのはこの作用によるもので、こうした作用は、生活習慣の中での「心理的依存」を生み出します。
心理的依存の例として他には、コーヒーを飲んだ後や、間を持たせたいとき、食後や仕事の区切りでの喫煙が挙げられ、実際に禁煙する時には、身体的依存よりもこの心理的依存の離脱の方が時間がかかるともいわれてもいます。
この心理的依存は、いわばタバコという中毒物質に精神が支配されている状態だといえます。前項でも述べたようにタバコのこうした依存性の高さは、コカインなどの麻薬以上と言われています。タバコを1本吸うごとに、ニコチンは喫煙者の血液を通して体内を駆け巡り、脳に快感(興奮・鎮静)作用を与え、喫煙者がタバコから離れられないようにカラダに根付いているのです。
ですから喫煙者当人が「さぁ今日から禁煙だ」と決意しても、なかなか意思だけでは一筋縄にいかないのも当たり前なのです。何度も禁煙にチャレンジしたけど失敗しているからといって、諦めたり落ち込んだりする必要はありません。「我慢、我慢・・」とツライだけの禁煙をする前に、まずは自分のタバコへの依存度を知り、なるべく禁煙のストレスが少ないように自分に合った禁煙のスタイルを探すことから始めてみましょう。