麻疹(はしか)とは麻しんウイルスが原因による、感染力が非常に高い急性熱性発疹性疾患です。予防接種を受けていない小児が感染・発症することが多いのですが、今は昔に比べると麻疹の流行も少なくなり、小児期に感染することが減り、予防接種を受けていない人が増えてきたことで、近年では10〜20代の感染者の増加の傾向も見られます。
麻疹は、重症化すると死亡することも珍しくはなく、その死亡率の高さに、麻しんウイルスに対するワクチンがまだなかった江戸時代においては「疱瘡は見目定め
麻疹は命定め」などという言葉もあり、天然痘と並んで恐れられていた病気でした。
麻疹(麻しんウイルス)の感染経路には空気感染、飛沫感染、接触感染があり、いずれの経路でも、麻しんウイルスに免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%の確率で発症します。
例えばインフルエンザの場合、非感染者の中に1人の感染者が居ると、周りの1〜3人にウイルスが感染するのに対し、麻疹の場合は10〜13人にも感染が及ぶと言われ、その感染力の高さがうかがえます。麻疹にかかったことがない人が感染を防ぐには、感染者との接触をしないことと、予防接種を受けておくことが重要になりますが、妊娠中においては予防接種をうけることが出来ないため注意が必要です。
尚、一度 麻しんウイルスに感染して発症すると、一生免疫が持続するため、麻疹を二度発症することはないと言われています。
<症状>
麻しんウイルスに感染すると、10日程の潜伏期間があります。(その間は無症状です)その後、くしゃみ・鼻水・咳や目の充血、38℃位の発熱などの症状が数日続きますが、この時点では風邪の症状によく似ているため、病院に行っても風邪と誤診されることが多くあります。
数日後、症状は一旦治まりかけますが、その後麻疹の特徴的症状とも言えるコプリック斑(白い粘膜疹)が口腔内(臼歯の横側)にでき、すぐにまた39℃以上の高熱が発症、発疹は全身へと広がり、ひどい咳とともに2週間程それらの症状は続きます。
肺炎や中耳炎、まれに脳炎の合併を起こすこともあり、特に大人は重症化しやすく、入院が必要な事態になることもあるため、麻しんウイルスに感染しないよう、ワクチン接種を受けるといった予防が大切です。(ただし、妊娠中は予防接種を受けることはできません。)
<治療>
麻疹を発症した場合、麻しんウイルスそのものに効く薬というものはありませんので、1つ1つの症状に対しての対処療法となります。病院で解熱剤や咳止めの薬の処方、体力が落ちてる場合は点滴を打ったり、合併症がある際はその治療を行います。
あくまでも対処療法ですので、これらを行ったからといって、治癒の期間が早まるわけではありませんので、10〜14日間程は自宅でゆっくりと栄養を摂りながら休むことが必要です。また、解熱後も3日間位はウイルスの感染力が残っているため外出を控えます。