タバコを吸うことで肺ガンや咽喉ガンで死亡する確立が高くなってしまうことは、愛煙家の皆さんは既にご存知だと思います。そうは聞いても実感がわかず中々タバコを手放せない方も多い事でしょう。カラダに良くないことが分かっておきながらも、既に生活の中で習慣化されているタバコを止めるとなると、なかなか今から吸おうとしている1本のタバコがそれほどの毒だとは実感出来ないものです。
しかしタバコに含まれているニコチン・・・これは既に”毒物及び劇物取締法”に指定されている毒物だということをご存知ですか?毎日の習慣の中で1日何本(何十本)も吸っているタバコ。それはスモーカーにとっても、周りでその煙を吸ってしまう非喫煙者にとっても、一番身近で危険な発がん性物質なのです。
ニコチンの中毒量は1〜4mgで致死量は50〜60mgです。その中毒性の高さはコカインなどの麻薬以上ともいわれ、タバコを吸う事でニコチンが体内に吸収されると、血管が収縮され血流を悪くします。それが長期にわたって続くと、体内で血栓などができやすくなり、動脈硬化や脳梗塞をも引き起こす原因となります。
それにタバコを吸うとビタミン不足になりがちです。ビタミンは美容だけでなく、体内の免疫力を高めるためにも大切な栄養素ですので、その不足からくる疲れなどの体調不良も起こりやすくなります。
またタバコには最低でも200種類以上の有害物質や数千種以上の化学物質が入っているといわれていますが、その中の一つとして含まれるタールには40種類以上の発ガン性物質が含まれており、それは気管支炎や喉頭ガン、肺気腫などの原因ともなります。
いずれをとっても、それらの成分は、本来は殺虫剤などの原料になるほどの有毒物質です。とても人間が嗜好品として安心して楽しめるようなものではないのです。
そしてそれらの有害物質は喫煙者の体だけでなく、周りでその煙にさらされている人間にまで害を及ぼしています。周りの人間は直接タバコを吸っているわけではないから、さほどの害は無いという訳ではありません。実は直接タバコを吸っている人よりも、周りの人間が吸ってしまう煙の方が、何倍もの有害物質を含んでいるのです。
その違いは吸っている煙の出所にあります。タバコの煙には2種類あって、喫煙者がタバコを吸うときに口をつけるところから出てくる煙を主流煙と言い、逆にその反対側(火がついているところ)から出てくる煙を副流煙と言います。主流煙の方が有害性の強い印象を受けますが、これは逆で副流煙の方がニコチン・タール・一酸化炭素共にそれぞれ主流煙の数倍の数値を出しています。
タバコの煙というのは目の前にいる相手に煙がかからないように気遣っても、部屋にこもってしまうものです。喫煙者の側に居る、非喫煙者は自分は1本もタバコを吸わないのに、喫煙者の吸うタバコの煙によってタバコの煙の持つ有害物質の被害にさらされているという事になります。
このように非喫煙者が喫煙者のタバコの煙を吸ってしまうことを受動喫煙といいますが、喫煙大国の日本では未だこの受動喫煙に対しての認識が浅いようです。
受動喫煙の恐さといえば何かの本で ”飼い犬が肺がんで死んだ際に、その犬の体を開いたら、飼い主の吸っていたタバコの受動喫煙で肺が真っ黒になっていた”という話がありました。自分の吸っているタバコが原因で、これと同じことが自分の家族や周りの人たちに起こりえるとしたら・・もはや自分一人の問題ではありません。
しかし他国に遅れをとりながらも最近では随分、日本の飲食店や公共施設でも分煙や禁煙が増えてきました。喫煙者の方の「肩身が狭い思いだよ・・」などという言葉を耳にしたりもしますが、生活の質の向上とともに健康への取り組みも世界で始まっている今、タバコ・・それは既に嗜好品ではなく”タバコ”という名の発ガン性物質に他ならないのです。