免疫力とは、私たちが自己を守る為に本来持っている、防衛機能の事をいいます。例えば大気中の細菌やウィルスが、体内に侵入してきた時に、私たちの防衛機能はそれを異物と感知すると同時に、攻撃してくれます。
また、ホコリや塵を吸ってしまうとくしゃみが出るのも免疫反応ですし、花粉症も体内に入ろうとする花粉を阻止する為に涙や鼻水が止まらなくなる免疫症状になります。またその免疫反応の働きは外部からの異物の侵入の場合に限りません。
例えば、通常私たちの体内では、大気汚染による影響やタバコ、食物に含まれる添加物などの影響により毎日大量の活性酸素が体内で発生し、正常細胞がガン化しています。しかし細胞はガン化したからといって、すぐにどうなるわけでもなく2〜3センチまで成長してはじめて【ガン】として発病します。
私たちの防衛機能(免疫力)は、こうした体内の異常細胞の発生をも細かくキャッチし、このガン化した細胞が【ガン】として活動を始める前に、日々免疫力がガン細胞を攻撃・撃退してくれているお陰で私達の体は健康を保つ事が出来るのです。
このように頼もしい免疫力ですが、逆に免疫力が低下してしまうと、当然ウィルスやガン細胞への攻撃力も弱くなり、万病の素ともなってきます。今現在、私達を悩ます病気のほとんどは、免疫の低下や異常からくるものだと言っても、過言ではありません。免疫機能の低下・・それはあらゆる病気を起こす、ひきがねになるのです。
例えばHIVウィルス(AIDS)も、いまだ特効薬のない恐ろしい病気ですが、これも免疫病の1つです。HIVに感染すると、数年の潜伏期を経過し、徐々に体の免疫機能が低下していきます。そうして免疫機能が極端に低下する事により、ただの風邪のウィルスでも一度体内に入ると、それに対抗する力がないので、治らないままこじらせてしまい、ついには肺炎などの合併症を引き起こし、死に至らします。
私たちは免疫があるから生きていけるのです。ではどういった事が原因で免疫力が低下してしまうのかについて次項でふれてみましょう。
◎ 不規則な生活・・・特に睡眠不足は大量の活性酸素を発生させます
・睡眠不足で常に体が疲れている。 ・昼夜が逆の生活を送っている。
・仕事の休みがほとんど取れないなど
◎ 運動不足/加齢・・・体力の低下は免疫力の低下につながります
・移動は車ばかりであまり歩かない。
・運動を全くしない。 など
◎ 環境公害・・・避けることが難しいだけに、一人一人が環境保護の意識を高める事が必要です
・車両の排気ガスなどによる大気汚染
・水質汚染
・オゾン層の破壊による紫外線数値の増加 など
◎ 食物からくる影響・・・これらの食品は発がん性物質を含むものが多くあります
・食品添加物(インスタントや加工食品・お菓子)
・農薬を使った野菜 など
◎ ストレス・・・心と体は密接な関係にあるのです
・職場/家庭などの対人関係などで常にストレスを溜め込んでいる方
主にあげられるものを記載しましたが、私達現代人にとってはどれも当てはまるようなものばかりです。免疫力は20代前半までが一番高いとされており、20代後半からは徐々に下降していきます。その下降に反比例して中年期を過ぎた頃から、病気の発症率もどんどんあがっていくのですが、今の若い人は昔とは食生活が大幅に変化しています。
例えば一番栄養を摂らないといけない成長期に添加物たっぷりのお菓子やハンバーガーなどばかり食べていては、やはり病気になった時の抵抗力も弱くなります。そのうえゲームやパソコンの普及で外で走り回って遊ぶ時間も減り、その分、昔の人と比べて免疫力が下降していく年齢も早まるだろうと言われております。
生活習慣を変えるのは大変な事ですが、健康のために少しずつ意識していきたいですね。−では実際にどのようなしくみで私たちの体内の免疫機能は働いているのでしょうか?
私たちの免疫力は、体重のおよそ6%をも占める白血球から成り立っています。白血球とは様々な免疫機能を持った細胞の集合体の事を言い、その正常値はそこそこで多少の違いはあるものの約4000〜10000/mm3といわれております。
この範囲の数値より極端に低すぎても、高すぎても様々な病気の要因となります。ではひとまとめに白血球といってもその中の種類と役割は様々ですので、簡単にまとめてみました。
<白血球> → <単球> → <マクロファージ>
全身に分布し細菌などの異物が入ってきたら、即細胞内に取込み殺菌する。その異物を取込む様子はまるでガツガツと食べているようであり別名「貪食細胞」とも言われる。またT細胞に体内の異物や侵入者の情報を送り、免疫機構を活性化させる作用もある。
<白血球> → <単球> → <樹状細胞>
体内に異物として入ってきた細菌やウィルスを認識し、リンパ球に「これが敵だ」と提示して攻撃させる役目の細胞である。
<白血球> → <リンパ球> → <T細胞> → <ヘルパーT細胞>
主に自己と非自己を判別。この判別を覚えるヘルパーT細胞は全体の数%で、覚えられなかったヘルパーTは死んでしまう。
<白血球> → <リンパ球> → <T細胞> → <サプレッサーT細胞>
活性しすぎたヘルパーT細胞の働きを抑制する。
<白血球> → <リンパ球> → <T細胞> → <キラーT細胞>
ガン細胞などに対し、非自己だと認識したら特殊なタンパク質でガン細胞を殺す。
<白血球> → <リンパ球> → <B細胞>
ヘルパーT細胞の指令をうけて抗体を生産する
<白血球> → <リンパ球> → <NK細胞>
体内のいたるところに分布し、細菌やガン細胞を見つけると即座に攻撃する。その攻撃力の強さからNK(ナチュラルキラー)細胞と呼ばれるほどです。
<白血球> → <顆粒球> → <好中球>
体内に侵入してきた異物を追跡して食い殺す、又殺菌能力もある。
<白血球> → <顆粒球> → <好酸球>
好中球と同じく殺菌能があり、さらに特徴的な殺菌作用として、寄生虫疾患などに対し特に増加し、毒素を中和する。
<白血球> → <顆粒球> → <好塩基球>
膠原病や感染症に対し増加し、アレルギーなどにも関与しているといわれている。
この様に種類と役割の様々な白血球ですが、其々の連携プレーが正常に働いてこそ、私たちの健康を守る事ができます。まず体内に異物が侵入すると、顆粒球と単球の1つ「マクロファージ」という2つの免疫細胞が、病原体を食べ尽くそうとします。
しかし、それでも異物に対抗する力が顆粒球とマクロファージだけでは足りない時には、B細胞がそれぞれの病原体に応じた抗体を造り、病原体を攻撃します。又、T細胞は病原菌に冒されてしまった感染細胞に攻撃を加え、それ以上繁殖しないように抑えます。
免疫細胞の中でも最強のNK細胞は、主にガン細胞を見つけ出して攻撃します。しかし病原体や感染細胞が増え、戦況が不利になるとマクロファージがリンパ腺に助けを求めに走ります。リンパ腺には多数のB細胞、T細胞が待機していて、マクロファージは病原体の情報を与えて応援を頼みます。
マクロファージから情報を得たB細胞は抗体を造り、T細胞と共に戦いに向かいます。そして、戦いの場に駆けつけたB細胞とT細胞が、すぐさま敵を撃退します。こうなると悪化した状況は一気に好転し、私たちの体内では常にこうして白血球が様々な異物と戦ってくれているのです。
免疫力の低下の原因については前項で述べましたが、やはりその原因の中には私達現代人が個人で防いでいくには、難しいものも多くあります。出来る事の中で免疫力を高めていく為にまずは、@規則正しい生活
Aストレスをためない生活 B適度な運動 は欠かす事の出来ないものとなります。
@の規則正しい生活・・というのは、やはり早寝早起きですね。人は一日7時間寝ると一番長生きすると、先日なにかの記事で読みましたが、次の日に疲れを残さない為にも、一日7〜8時間は睡眠をとるほうが良いですね。
Aのストレスをためない・・というのは、うまくストレスを発散しましょう、という事になります。ストレスを感じない生活を送っているという方は、社会生活においては殆どいないと思います。ただそのストレスを抱え込んだままにしておくと、多量の活性酸素を体内に発生させ、放っておくと大変な事にもなりかねません。熱中できる趣味を見つけたりして、うまくストレスとつきあっていきましょう。
Bの適度な運動・・は、健康管理の中でも、とても大切なのは、皆様ご存知かと思います。体力の低下は、そのまま免疫力の低下にもつながりますし、日頃から足腰の筋肉が衰えないよう1日1〜2時間程度のウォーキングなどをする事は、とても良いことですね。
ただいきなり、急な運動をすると体がビックリして筋肉に支障が出る事もありますから、今から始める方は最初は短い時間から始めて、徐々に時間を増やした方が良いでしょう。どれも基本的なことですが、今までそういう習慣がついてなかった方には全てをいきなり継続していくのは、大変な事だと思います。
ですから、なかなか実践できないと言われる方は、まずはどれか1つだけでも意識して始められてみてはいかがですか?そしてそれにプラスして、より免疫力アップにつながる健康食品やサプリメントを生活に取り入れてみるのも有効的だと思います。
<免疫力アップのために心掛けたいこと>
・規則正しい生活
・ストレス発散
・適度な運動
様ざまな社会的影響により、私たちの免疫力は日々、活性酸素やガン細胞と死闘を繰り広げています。しかし、この免疫力も永久に強い攻撃力を保てるわけではなく、免疫力が細菌やガン細胞に勝利しやすい力を与えるのも、逆に不利な状況に追い込んでしまうのも、私たちの心がけ次第です。
日々、私たちの体を守る為に戦ってくれている白血球の手助けになる様な生活を送るように意識しましょう。自分の身は自分で守る、という言葉があるように、まさに【自分の免疫力は自分で高める】ということが、大切ですね。