ヤマブシタケは日本でも珍しいサンゴハリタケ科サンゴハリタケ属に属するキノコで、学名をHericium erinaceumと言います。中国、日本、欧米など、広く分布していますが、天然ものが少なくなっているため、生の状態で入手することは難しく、乾燥品が主流になっています。
中国ではテナガザルの頭に似ていることから「ホウトウクウ(猴頭磨j」と呼ばれ、フカヒレ、なまこ、熊の手とともに中国山海4大珍味になるほど、味の良いキノコで昔から薬膳料理の材料として利用されてきました。
大きさは直径5〜10センチの球形で、長さ1〜5センチの真っ白な針が全体を囲むように垂れています。ちょうどそ の色や形がウサギに似ていることから「ウサギタケ」とも呼ばれていますが、だんだん淡い黄色になり、次第に淡い茶色に変色していきます。
針に覆われた内部はスポンジ状になっており、水分を含みやすくなっています。ヤマブシタケはクヌギやブナなど広葉樹の樹幹、切り株に着生し、その樹木の養分を吸いながら成長します。
ヤマブシタケの名は、山伏【山の中に篭って修行する僧、修験者】が着用する鈴懸衣(すずかけころも)の結袈裟(ゆいげさ)に付いている丸い飾りに良く似ていることから、大正の植物病理学者白井光太郎氏によって名づけられました。
技術が発展するにつれて、日本でも気温や湿度の管理を行うことで栽培出来る様になり、1970年代にはいると、ヤマブシタケの有効成分が注目されるようになりました。
中国では乾燥品を漢方薬として、日本では健康食品として利用しており、抗がん作用、ボケ防止、脳の活性化などに有効な成分が含まれています。
<効能・効果>
ヤマブシタケには、がん細胞の死滅に働く多糖類βーDーグルガン含まれています。βーDーグルガンは、キノコ特有の成分ですが、他のキノコが1,2種類しか活性多糖を持たないのに対して、ヤマブシタケは5種類の活性多糖を含み、中でもガラクトキシロマンガンとマンノグリコマンガンはヤマブシタケ特有の活性多糖です。
βーDーグルガンの中でも、ヘテロβーDーグルガンと呼ばれるもので、アガリクスのβーDーグルガンとは種類が違います。また、ヘリセノンやエリナシンが脳の神経細胞を活発にしてくれます。
脳内の神経伝達を行っているニューロンという神経細胞は脳内で、それぞれ突起のようなものを伸ばしながら、情報伝達を行っています。しかし、加齢とともにニューロンが減少すると、伝達情報がスムーズに行われなくなるので、記憶力が低下し、痴呆症の原因ともなります。
このニューロンの生死に関わっているのがNGF(神経細胞成長因子)で、ヘリセノンやエリナシンがNGFを促進させることで、ニューロンの減少を防ぎ、脳細胞を活性化させるのでアルツハイマー型痴呆症防止やボケ防止になります。
減少しても、残った神経細胞を活性化させることで改善にもなります。また活性酸素に対しても、体内に持つSOD(活性酸素から体内を守る働き)に似た作用を持ち、活性酸素による細胞の酸化や老化を防止し、細胞を若返らせる働きがあります。
食物繊維は発がん性物質を体外へ排出したり、血中の悪玉コレステロールを減らすので、動脈硬化などにも有効です。