ローズヒップとは、バラ科ノイバラ属のドックローズという品種の野ばらの実のことです。花は白〜ピンクで、花びらが落ちた後に真っ赤な実(偽果)をつけ、偽果の中には約3mm位の種子が10個はいっています。
ローズヒップは排気ガスに弱いので、環境汚染が進んだ影響で、現在、天然の群生地はチリのアンデス山脈の麓やヨーロッパの一部にしか残っていません。生育地域や環境によって大きさ、形状、色が違うので、学名も産地によってRusa canina、Rusa
rubiginosa、Rusa mosuquetaと分けられています。
約500種類があり、北海道〜九州の海岸沿いで見られるハマナスもローズヒップの仲間です。ローズヒップが特に女性の間で人気を集めた理由は美肌に効果のあるビタミンCの含有量にあります。
ローズヒップは別名”ビタミンCの爆弾”と呼ばれるほどビタミンCが豊富に含まれており、外皮にはレモンの20個分のビタミンCが含まれています。ヨーロッパでは、古くからお茶に入れて飲んでいたそうですが、こんな話が残っています。
1950年代にヨーロッパで、チリに不老長寿の妙薬があるという噂が流れ、その妙薬を求めてチリを訪れる人が絶えなかったとか。その妙薬というのがチリのビオビオ地方に住んでいるアラウカ族が「種族の守護神」(不老長寿の妙薬)として祀っていたローズヒップのことだったのです。
当時、アラウカ族によって守られていたローズヒップを入手することは大変困難だったようです。その後、アメリカで1979年にボーリング博士らが「ガンとビタミンC」という本の中で、ビタミンCを摂取すると、健康維持やガンに対しての効果を得られると主張しました。
すると、アメリカに限らず世界中でビタミンCがブームとなり、ビタミンCを豊富に含むローズヒップが注目されるようになったのです。
<効能・効果>
ローズヒップの人気は豊富なビタミンCにあり、主な働きとしてコラーゲンの生成があります。コラーゲンは細胞と細胞の間存在し、皮膚、臓器、血管、髪、関節などを健康に保つ重要な役割をしています。加齢とともに減少するコラーゲンを補うには、ビタミンCが必要です。
ビタミンCは生成するだけでなく、持続させるので肌に潤いを与え、肌の張りを保ち、しわやたるみを防ぎます。更に”若返りのビタミン”と言われるビタミンEが過酸化脂質を抑え、活性細胞の酸化を防いで、肌の老化を防止します。
ビタミンCは熱に弱く、壊れやすい性質がありますが、ローズヒップにはビタミンCやEを熱から守るビタミンP(バイオフラボノイド)が含まれているので、ビタミンC、Eの効果が低下しないようにサポートしています。このような抗酸化作用は、ガンなどに対しても有効に働きます。
ビタミンCは免疫細胞を活性化し、感染症に対する抵抗力を高めたり、発がん性物質の生成を抑える働きがあります。βーカロチンは必要に応じてビタミンAに変わり、皮膚の乾燥を防ぎ、粘膜を強化して、ウイルスや細菌の侵入を防いだり、免疫力を高めてガンを予防します。
リコピンはカロチンの一種で、抗酸化作用はビタミンEの100倍、βーカロチンの2倍と言われています。抗酸化作用とともに、毛細血管を強化し、弾力を与えることで血栓が出来るのを阻止し、動脈硬化や脳卒中など生活習慣病の予防にも期待でき、ヨーロッパではストレスやアレルギー症状の緩和などにも利用されています。