ノコギリヤシは北米南部からテキサスの広い範囲に自生するヤシ科シェロ属の植物です。学名はSerenoa Repens(セレノアレペンス)といい、葉がのこぎり刃のような形をしていることからノコギリヤシと名づけられています。
3m位の低木で、春になると白い花が咲き、秋になると真赤な実をつけます。このノコギリヤシの果実を古くからネイティブアメリカン〈インディアン〉が強壮剤として利用していました。
19世紀に入るとこの果実を乾燥させたお茶が膀胱や尿道など泌尿器疾患に効果があると勧められるようになり1960年代には、ドイツを中心にヨーロッパで科学的な研究が行われた結果、前立腺肥大症に効果があることがわかりました。
治療薬として利用されるようになり、フランスなど数カ国では医薬品として認められています。前立腺は膀胱の真下にあり、尿道を取り囲んでいる器官で、精液の一部を分泌しています。
この前立腺が肥大することによって「夜中何度もトイレに行きたくなる」「尿の切れが悪い」「残尿感がある」といった症状があらわれ、50代から徐々に増加し、70代になると70%の人が悩んでいるといいます。食生活の欧米化も原因のひとつにあげられていますが、一般的には男性ホルモンが関わっていると言われています。
男性ホルモンは加齢と共に減少していきますが、生殖機能が衰えないように、何とかテストステロン〈男性ホルモン)を取り込もうとし、結果、前立腺へ取り込まれたテストステロン(男性ホルモン)が前立腺細胞の中で5αーリダクターゼという酵素の働きによってジヒドロテストステロン(DHT)に変換されて、蛋白を合成し、細胞増殖を促進させる為といわれています。
やがて、症状が進行すると、尿失禁、尿閉、尿路結石、腎不全、尿毒症を起こすこともあります。治療法としては手術か薬物療法がありますが、体の負担が大きく、副作用の起こる可能性が高いため、ノコギリヤシの効果が注目されているのです。
<効能・効果>
中高年の男性を悩ませているのが、前立腺肥大症です。前立腺が肥大すると尿道を圧迫するため、尿の出が悪くなり、残尿感などを感じるようになります。
ノコギリヤシの果実は前立腺肥大に効果があると、ヨーロッパでは医薬品に認定されているところもあり、別名「植物性カテーテル(導尿管)」と呼ばれています。それくらい、排尿を助ける働きがあると言われ、珍重されてきました。
ノコギリヤシがどのように作用するかは、はっきりとはわかっていませんが、前立腺肥大はテストステロンが強い男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)に変換され受容体と結合し、蛋白質を合成して増殖する為、前立腺が肥大します。
ノコギリヤシの果実に含まれるオクタコサールやステロールなどの脂溶性成分は、5αーリダクターゼという酵素の働きを阻害することで、テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのを防ぎ、ジヒドロテストステロン(DHT)生成や蛋白質の合成を抑制して、前立腺が肥大するのを抑えます。
予防だけでなく、肥大した前立腺の改善にも効果的です。加齢とともに悩ませる「抜け毛」も男性ホルモンに関係している原因であれば、前立腺肥大のしくみと似ていることから、「抜け毛」予防にも期待できます。