にんにくはユリ科ネギ属の多年草で、学名はAlliumsativum.属名のAlliumはケルト語です。これは燃えるようなという意味からきたものです。高さは90cm位まで成長し、白やピンクの花を咲かせます。葉は長くて平たく、英名の”ガーリック”はこの葉の形から、ger(槍)、leak(辛い味)をあらわします。
にんにくの歴史は古く、紀元前3000年頃、古代エジプトではタマネギと共に栽培されており、ピラミッド建設の際には労働者(奴隷)に活力を与えるために食べさせていたといわれ、それ以外でも、衰弱、頭痛などの薬用としても利用されていました。
ツタンカーメンのお墓の中からもにんにくを乾燥保存したものが発見されています。古代エジプトからギリシャやヨーロッパ、さらにインドや中国に伝えられ強壮用として食されており、日本へは、朝鮮半島を経て伝わました。
国内最古の歴史書『古事記』(712年)や『本草和名』(918年)にはにんにくの記述があり、「大蒜」(おおびる)と呼ばれていました。”にんにく”という名前は仏教用語で苦難に耐え忍ぶという意味の『忍辱』からつけられたもので、僧侶が荒行に耐えるために食していたようです。
現在のように利用されるようになったのは明治時代からと言われています。品種は暖地栽培に適したにんにくのかけらが12〜13個輪状になる在来種と、寒冷地栽培に適した6個のかけらが2層にできる6片種があります。
にんにくが注目されるようになったのは、1936年小湊博士がにんにくの有効成分「スコルジニン」の抽出に成功し、続いてアメリカ、スイスでアリシン、アイリンが発見されてからです。
1990年からアメリカ国立ガン研究所が中心となり行っているデザイナーフーズ計画でも、がん予防効果の可能性があると言われる食品40種類をピラミッド方式で発表していますが、その中でにんにくは一位にあげられています。
<効能・効果>
にんにくの臭いの素となっているのがアリシンです。アミノ酸の一種であるアリインが分解酵素アリナーゼの作用によりアリシンに変化します。変化したアリシンは無臭のアリインと違い独特のにんにく臭を放つようになるのです。
アリシンには結核菌、ピロリ菌、ウイルスに対して強力な抗菌力があるだけでなく、疲労回復に欠かせないビタミンB1の吸収を高めて、解毒酵素の働きを活性化し抵抗力をつけます。ビタミンB1は糖をエネルギーに換えるのに必要なもので、胃腸の働きを活発にするので、食欲増進などに効果的です。
アリシンとビタミンB1が結合した物質がアリチアミンです。アリチアミンは体内の吸収率が良く、血中に長く留まり、ビタミンB1と同じような働きをします。糖質を分解して、血糖値降下作用があるので、糖尿病の予防になります。
アリシンを熱した物質アホエンには血液をサラサラにする効果があるので、血栓防止になります。アリシンと脂質と結合した脂質アリシンには、抗酸化作用があり、赤血球を増加させ、細胞を活性化し老化を防ぎます。
アリシンと共に欠かせない有効成分スコルジニンは無臭で毒性もなく、強力な酸化還元作用があり、摂取した栄養分を完全に燃焼させてエネルギーに換えます。結果、新陳代謝を高めて血行をよくするので、動脈硬化、冷え性など血行障害から起こる病気に効果的です。
脂肪の蓄積を抑制し、血小板凝集抑制作用が血中コレステロールの増加を防ぎます。また、有機ゲルマニウムは体内に取り込まれると制ガン作用があり、セレニウムの抗酸化作用はビタミンEの500倍と言われています。しかし、にんにくは食べ過ぎると胃を荒らす可能性があるため、生なら1かけ加熱したものは2〜3かけが好ましいようです。