にがりとは塩を作る時にできる液体のことで、昔から豆腐を作るときに凝固剤として使われてきました。海水の水分を蒸発させ煮詰めると、
(1)硫酸カルシウム
(2)塩化ナトリウム
(3)硫酸マグネシウム
(4)塩化マグネシウム
(5)塩化カリウムの順で結晶化します。
塩を作る工程では塩化ナトリウムが結晶になるまでしか煮詰めないので、その中で、塩ではない硫酸カルシウムは除去され、結晶させた塩化ナトリウムが塩となります。
それ以外の硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムが残ったドロドロ状の液体がにがりです。この液体を「塩化マグネシウム含有物(にがり)」といい、天然にがりのことです。もうひとつにがりには「塩化マグネシウム(にがり)」と書かれたものがあります。
「塩化マグネシウム(にがり)」とは、塩化マグネシウム含有物を精製して塩化マグネシウムの純度を上げたもので、(にがり)としてもいいようです。
にがりの製造法は『天日干』海水を日光に当てて塩を作る際にできる、『釜茹』海水を釜で煮詰めて作る、『逆浸透膜』逆浸透膜というろ過装置で海水に含まれる不純物を除いて、真水になったものに逆浸透膜でとれたにがりを加えたもの。
『イオン交換膜透析法』海水をろ過し、2枚の大きな幕で仕切られた部屋に流し込み、電気分解してイオン化したものがあります。にがりは「苦汁」と書きます。飲んだ方はおわかりでしょうが、とても苦くそのまま飲めるものではありません。この苦味成分となっているのが、豊富なミネラルです。
にがりの主成分となっているのは塩化マグネシウムで、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛など、海水に含まれる100種類以上ものミネラルがにがりには含まれています。1997年に塩の専売法が撤廃されてからというもの、このにがりに含まれる豊富なミネラルが注目されるようになり、花粉症、アトピー、肥満などの現代病に効果があると言われています。
<効能・効果>
太る原因として過度のカロリー摂取よる脂肪の蓄積があります。糖質は体内でブドウ糖に分解され、血液を通して血糖として肝臓に蓄えられてエネルギーとして使われますが、肝臓の貯蔵量にも限界があり、余ったブドウ糖は膵臓から出されるインスリンによって中性脂肪に変わり、血糖や細胞に蓄積します。
にがりの主成分であるマグネシウムにはインスリンの分泌を刺激し、中性脂肪の吸収を遅くする働きがあります。また、マグネシウムはカルシウムの吸収を助けるので、新陳代謝を高め、利尿効果を促し、体内の水分、脂肪、老廃物を排出します。
利尿だけでなく腸内で失われた水分を腸内へ取り戻し、硬くなった便を柔らかくする作用もあるので便秘改善にもなります。もちろん、これだけで痩せるものではありませんが、ミネラルを補給でき、ダイエットの補助的な役割をしてくれるのです。
食事以外にもにがりを水で薄めて洗顔後にスプレーすれば、皮膚の代謝を活発にします。皮膚の保湿成分である「セラミド」の合成を助け、ソバカス、シミ、肌荒れの予防・改善になります。歯磨きににがりを利用することで、抗菌作用が働き歯槽膿漏や歯周病の予防になります。
昔から天然塩には豊富なミネラルが含まれていましたが、塩の専売制がしかれてからは、化学塩の普及により、アレルギーや花粉症といった現代病が増えたといわれています。アレルギー物質が体内に入ると、目のかゆみ、くしゃみなどの症状を引き起こす化学物質を作り出します。
この化学物質を排出するにはある程度のミネラルが必要ですが、にがりには天然塩と同じく豊富なミネラルが含まれているので、アレルギーの症状を緩和します。しかし、摂りすぎは下痢などの原因となるので、摂取量を守りましょう。