酵母とは単細胞真核微生物(菌類)と呼ばれるもので、形は円形もしくは楕円形で、大きさは5μm.位です。生物は真核生物と原核生物に分類されますが、真核というのは動物、植物を含む生物で遺伝子を持つ核が中心にあります。
原核というのは細菌類など遺伝子が細胞内にバラバラに存在するものになります。酵母は自然界にも樹皮、果実などあらゆるところに存在しており、調味料の原料やアミノ酸の保湿・細胞賦活効果を利用して化粧品や洗剤にも使われています。
酵母よりもイーストといった方が馴染みがあると思いますが、酵母の英名がイーストです。700種ある中で、実際利用できるのは数種類です。
7000年前から、ビールや酒を造るのに利用されていましたが、アルコール発酵と酵母が結びついたのは1879年で、ブドウ酸の研究で有名になったフランスのルイ・パスツールが微生物の自然発生説を否定してからです。
微生物によって発酵・腐敗が起こっている事がわかり、糖分を炭酸ガスとアルコールに分解してエネルギーに変えているのが酵母だったのです。
発酵食品と言うと、他にパン、ワイン、醤油、味噌などが挙げられますが、パン酵母、ビール酵母と言われるように、酵母はそれぞれの特性に合った菌種をたくさん持っており、作用する酵母の働きもそれぞれ変わります。
例えば、お酒を造る時はアルコールの生産能力を高め、醤油や味噌を造るときはタンパク質をアミノ酸に分解するのを促したりと目的にあった酵母を判断して利用しているのです。特にサッカロマイセス・セレビシュという一種だけがアルコールを大量に造ることができるので、お酒を造る時に利用されています。
酵母の繁殖は大変活発で、出芽増殖と分裂増殖に分けられます。パン、ビールなどは出芽増殖になります。酵母の繁殖は遺伝学でも重要な実験生物の対象になっています。
<効能・効果>
酵母といっても、主に見かけるのはビール酵母です。というのは、パンや味噌を作る時に酵母を使っても途中で分離することはありません。ビールの製造で発酵のために使われた酵母は途中分離され、除去されます。これが、酵母エキスとして、利用されています。
酵母はエジプトでピラミッドの中から発見されたエーベルスのパピルス文書の中に病気を追い払う為の魔よけや強壮剤として利用されていたと書かれています。
成分はタンパク質50%、食物繊維30%、ビタミンB、各種ミネラルが含まれており、タンパク質のもととなるアミノ酸の20種類のうち、必須アミノ酸を含んでいます。食物繊維は消化を助け、便容量を増大させるので消化不良、便秘に効果的です。
また、有害物質を吸着し毒性を抑えて、有害物質を排除する働きがあります。ビタミンB1 は食物から取り入れた糖質を代謝して、エネルギーにかえるので、脳や体の働きを活性化します。ミネラルにもカリウムが体内の塩分を一定量に保つことから、高血圧の予防にもなります。
酵母には、疲れの原因となる乳酸菌が腸内で繁殖するのを防ぎ、糖尿病、動脈硬化、脳卒中、肝機能の改善などにも効果があり、摂 りすぎたカロリーを抑える働きがあるので、補助食品としても利用されています。