ウコンはショウガ科ウコン属<クルクマ>に属している多年草(一度植えると、何度でも収穫できる植物)で、インド原産の亜熱帯植物です。現在ではアジア、アフリカ、中南米の熱帯・亜熱帯地方に多く見られますが、高温多湿で土壌条件がよい地域でないと栽培は難しいようです。
ウコン属は53種、200種類が世界でも承認されており、薬効として認められているもので、よく知られているのが、春ウコン(キョウオウ)と秋ウコン(ウコン)です。
春ウコン=「クルクマ・アロマチカ」は春にピンク色の花を咲かせ、切り口は鮮やかな黄色です。
秋ウコン=「クルクマ・ロンガ」は、夏〜秋に白い花を咲かせ、切り口は黄澄色です。
もうひとつ良く知られているのが紫ウコン(ガシュツ)=「クルクマ・セドアリア」で、初夏にピンク色の花を咲かせます。切り口は青紫色です。
一般的にウコンというと秋ウコンの事を指しますが、カレーやたくわんの黄色い着色に使われているターメリックはウコンの西洋名です。15〜16世紀頃、中国から日本(琉球)に持ち込まれ、根茎は食品や染料に、花は観賞用として利用されていました。
琉球王朝時代には、日本が明との貿易をたたれ、薩摩藩は1609年財政難を逃れるために琉球を占領しましたが、この時鹿児島の借金返済に窮乏した琉球王府にとってウコンは王国の貴重な財源とされていました。
当時年貢として収めていた砂糖と共に専売制がしかれ、民間の栽培は禁止されていたそうです。その後、薩摩藩によって全国へと広められましたが、もともと亜熱帯地方の植物なので、暖かい沖縄や鹿児島でしか栽培ができなかったようです。
現在、石垣島、鹿児島、奄美大島、屋久島、種子島で栽培されていますが、主な産地である沖縄では「うっちん」と呼ばれ、古くから優れた薬効を持つ薬草として珍重されていました。明で有名な名著『本草網目』にも、悪血を破る、血淋、尿血を治すと記されています。また、邪馬台国の卑弥呼は薬として使用し、8代将軍吉宗はウコンの栽培をしていたという話も残っています。
<効能・効果>
ウコンの主成分はウコンの黄色色素の素となっている苦味成分クルクミンです。クルクミンの含有率が高い秋ウコンは、春ウコンや紫ウコンに比べて苦味が強いのですが、苦味が強いほど良いのです。
昔から弱った肝臓を回復させる生薬とされていましたが、クルクミンはポリフェノールの一種で低下した肝臓の機能を強化し、胆汁の分泌を促進させるので肝臓にかかる負担を減らします。特に肝臓機能を低下させるのがお酒(アルコール)です。
アルコールは体内でアセトアルデヒト分解酵素によって毒性を持つアセトアルデヒトに分解されます。これが体内に残ると二日酔いになったり、肝機能障害を起こしやすくなります。クルクミンはアセトアルデヒトを分解しやすくし、肝機能の回復に役立ちます。
飲む場合、脂溶性なので水より油に溶けやすく、油をつかった料理と一緒に摂取すると効果的です。体内に入ると、吸収される時にテトラヒドロクルクミンという強力な抗酸化物質に変わり、糖尿病、動脈硬化などの成人病やがんの予防、改善になります。
ウコンの種類によって得られる効能は少しずつ異なるようですが、精油成分を見てみると、ターメロン(利胆作用、抗菌殺菌、抗炎症)シオネール(健胃)αークルクメン(利胆、コレステロールを減らす)クルクモール・βーエレメン(抗腫瘍)カンファー(強心、健胃、殺菌)アズレン(抗潰瘍)など多くの精油食物繊維や豊富なミネラルとの相乗効果により、肝臓病だけでなく、高血圧、心臓病、貧血、リュウマチ、胃潰瘍の改善にも利用されています。