卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)は卵巣に腫瘍ができたもので、良性と悪性がありますが、卵巣嚢腫の90%は良性腫瘍です。
卵巣嚢腫は溜まった液体によって
(1)漿液性(しょうえきせい)…透明または淡黄色の水様液が溜まり、卵巣嚢腫の中でも頻度の多い。
(2)粘液性…黄色や褐色の粘りのある液が溜まり、巨大化しやすい。
(3)皮様性…腫瘍内に皮脂、骨、歯、髪の毛を含む。
に分かれます。
嚢腫が小さいうちは無症状のことが多く、大きくなると下腹部の膨張や周囲の臓器を圧迫することによる様々な症状があらわれます。また、放置しておくと捻れることがあり、下腹部に強い痛みが生じます。
<治療法>
超音波検査、CT、MRIにより嚢腫の有無、大きさ、良性か悪性かなどを診断します。嚢腫が小さく良性の場合は、特に治療を行わず、定期検査を行い経過を観察します。
しかし、巨大化したり、症状がある場合は手術を行います。良性または悪性の可能性が極めて低い場合は、腹腔鏡手術による卵巣嚢腫核出術をします。これは病巣を切除し、卵巣を温存するものです。
腹腔鏡なら傷口も小さく、患者さんの体力的な負担も軽減されます。悪性には開腹手術による卵巣摘出術を行いますが、卵巣を摘出することでホルモンバランスが乱れ、めまいやだるさなどの症状があわられます。