急性腎不全とは、腎臓の機能が急激に低下することです。発症して2、3日で乏尿期(ぼうにょうき)に入り、尿量が急に少なくなったり、出なくなります。数週間して多尿期に入ると、尿量は正常よりも増えますが、他の多臓器を合併していなければ、多尿期を経て正常に戻ります。いくつかの原因があります。
(1)腎前性…大量の出血や心筋梗塞などでショック状態に陥いると、血圧が急に低下し、腎臓に運ばれる血流量が減少します。
(2)腎性…糸球体(しきゅうたい)または尿細管が毒素によって障害がおこった状態。原因は、腎前性から酸素の供給量の減少、腎機能に障害をもたらす薬剤などの毒素などにより、尿細管が壊死(えし)したり、糸球体腎炎などの糸球体自体に起こる障害などです。
(3)腎後性…尿路結石やがんなど悪性腫瘍によって尿路が閉鎖し、腎機能が低下します。腎機能が低下すると、通常尿中に排出されていたクレアチン、尿素窒素、カリウムが残存するため、数値が上昇し生命に関わることがあります。
<治療法>
原因を取り除くことが、回復につながります。原因が薬剤なら医師に相談して中止し、腫瘍なら、それを取り除かなければいけません。腎臓だけの原因なら、水分や塩分を制限しながら安静にしておくことで回復しますが、多臓器にわたる場合は回復率も低くなります。治療としては血清クレアチン、尿素窒素値の上昇と高カリウム血症をおこしている場合は、透析(とうせき)を行ないます。