腸に炎症を起こす疾患の総称です。炎症の原因は食中毒が多く、腐った食べ物を食べたり、不衛生な環境で細菌が混入した生水を飲んだなどの細菌感染によるものです。
これを感染性腸炎といい、細菌はO-157などの病原性大腸菌や、ブドウ球菌、コレラ菌、赤痢菌、カンピロパクター、ボツリヌス菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオなどです。ウイルス性には乳幼児に多いロタウイルスと、風邪からも起こります。
非感染性では、食物アレルギー、暴飲暴食、抗生物質の服用、貝やキノコの毒素、腸の血流が悪くなる虚血性腸炎があります。症状は下痢と強い腹痛で、発熱や吐き気、嘔吐(おうと)を伴います。
便には血が混じり、痛み始めると強烈な痛みが数分毎に襲ってきます。入院が必要になることもありますが、安静にして中毒症状を起こさなければ3〜4日で完治します。
<治療法>
糞便、採血検査で診断されます。問診や検査で原因を調べ、対症療法を行います。細菌の種類によって抗生物質も異なり、下痢も腸内の有害物質を排出するために起こっているので、自己判断で薬を服用すると逆に悪化させることもあります。
下痢や嘔吐がひどい時は、脱水症状を防ぐために水分補給をしっかり摂ります。この時、適度な塩分も必要なため食塩水やスポーツドリンクなどが好ましいでしょう。絶食が続くと逆に危険なので、症状が良くなってきたら徐々に消化の良いものを食べるようにします。
このとき、刺激の強い食べ物〈冷、熱、果物、酸味が強い、脂肪が多い、アルコール、コーヒー〉は避けます。薬物療法としては整腸剤や適切な抗生物質を使用し、安静にしておくことが必要です。
<予防法>
食中毒を防ぐためには、食器や食材に細菌の付着・増殖を防ぎ、しっかり殺菌することです。具体的には新鮮な食材を使う、きちんと火を通す、冷凍・冷蔵保存する、生ものに注意する。
食器やまな板などは清潔なものを使う、手を洗うなど日常から予防しましょう。また、海外へ旅行する時は食べ物や飲み水に特に注意が必要です。