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腸の病気|大腸がん

大腸がんは大腸粘膜に発生する悪性の腫瘍で、近年がんの中でも増加傾向にあります。原因は遺伝的因子よりも食生活の欧米化による動物性脂肪や高たんぱく質の摂り過ぎ、食物繊維の摂取不足が挙げられています。

また、喫煙や飲酒が発ガンリスクを高めていることもわかっています。早期治療で完治の可能性が高いのですが、初期のうちは症状がない為、便に血が混じっていたり、下血があっても痔(じ)と自己判断してしまい見逃されがちです。

特に直腸やS状結腸に多く、直腸の場合は肛門に近いので早くから出血が見られたり便が細くなり、お腹に不快感が残ります。右結腸では下痢や右下腹部の腹痛、がんの出血からくる貧血が起こり、左結腸では下痢、便秘、強い腹痛、出血があります。

また、がんが成長し腸を塞いでしまうと〈腸閉塞〉強い腹痛とお腹の張りを感じ、吐き気や嘔吐(おうと)に襲われ、次第に排便やガスが停止してしまいます。周囲の臓器やリンパ節に転移すると完治が難しいため、しこりや便通障害などを見落とさないように注意が必要です。

<検査>
便潜血反応検査は便の中に出血がないか調べるもので、負担も少ないのですが、初期は出血がないことも多く早期がんの診断には欠けます。確実な判断には、注腸造影検査と内視鏡検査があります。注腸造影検査は、肛門からバリウムを注入しX線検査をします。

ファイバースコープを用いた内視鏡検査では、初期の小さなポリープも発見でき、がんの状態を知ることが出来ます。他に腫瘍マーカーがあります。これは、がん細胞が作り出した物質が血液や尿に流れ出したものを見つけるもので、転移や再発の目安として行われています。

<治療法>
内視鏡切除
内視鏡検査で早期のがんが発見された場合は、そのまま切除することができます。キノコ状のがんは、スネアという針金のような器具を使って根元から電流で焼き切るものです。平らなものは粘膜を浮かせて切除するもので、切除した粘膜の一部を顕微鏡で検査(生検)します。

手術
開腹手術がほとんどですが、早期がんなら傷口も小さく負担も少ない腹腔鏡手術が行われています。直腸がんの場合は、周囲に尿、便の排出や生殖機能を司る自律神経があるので、周囲にがんが及んでなければ、がんを切除して神経を残すことができます。

神経を傷つけるとこれらの機能が正常に働かなくなるため、肛門から離れていれば温存することが多いようです。がん切除後、残った腸を縫合する機械が発達し、多くは人工肛門を避けることができるようになりましたが、肛門の切除が避けられない場合や、排出機能に異常がある場合は人工肛門が必要になります。

放射線療法
大腸がんでは、放射線照射によってがんだけでなく周囲の臓器にまで及ぶため、進行がんによる痛みなどの症状の緩和や再発や転移を防止させるために行われますが、術前にがんを縮小させるために使われることもあります。

化学療法
手術ができない場合や、進行がんの再発・予防目的で使用します。しかし、大量に使用すると吐き気や脱毛、食欲の低下、体重減少などの副作用があります。