食道壁にポケットのようなくぼみができて、食道壁が袋状に飛び出したものです。食道内圧の上昇が原因で、食道壁の弱った部分が圧出したものを内圧性憩室といい、食道の周囲で炎症が起こり、それに引っ張られて飛び出したものを牽引性憩室(けんいんせいけいしつ)と言います。
食道壁が弱い下咽頭部にできるゼンカー憩室や横隔膜(おうかくまく)の上にできる横隔膜上憩室は、内圧性の憩室が多く、気管支分岐部憩室は〈食道中部〉はリンパ節の炎症により牽引される牽引性憩室です。
症状は無症状ですが、つかえ感や嚥下困難(えんげこんなん)を感じることがあります。また、憩室の中で炎症を起こしたり、憩室が破れた場合は胸痛や出血が起こります。
<治療法>
上部消化管造影検査や上部消化管内視鏡で発見できますが、無症状なので気づかず、他の疾患でこれらの検査を受けた時に発見されることもあります。
基本的には症状がないので治療は行いませんが、嚥下痛や嘔吐がひどく、生活に支障がある場合は憩室を切除します。しかし、手術をすることは稀(まれ)です。