普段の生活の中で、食事をしたり汗をかいたりすると、私たちの体は少なからず口臭や体臭を放ちますが、大体の場合は口腔ケアをしたり、体を清潔に保つことで臭い(におい)を抑えることができます。
ただ、中にはそれらの対策をしても、他人が不快に思うほど強い臭い(におい)を放つ人もおり、それは本人にとっては単に「体質」として割り切れないほどの悩みであることが多いです。口や体から強い悪臭を放つ原因としては、一般的に下記のようなものが挙げられます。
【口腔ケアの怠り】
口腔内に原因がある口臭として、食後の歯磨きがきちんと出来ておらずに、歯に食べカスがついていたり、舌がきちんと磨けていない場合、歯周病や虫歯がある場合やタバコも口臭の原因となります。
歯に付着した食べカスは、早くて食後2〜3時間位でプラークという細菌の塊(いわゆる歯垢)になり、これを長時間放置すると虫歯になったり、歯石となって歯ブラシでは除去が困難になったり、歯周病になったりします。
これらは全て口臭の原因になりますので、歯を磨いているのに口臭が気になる人は、口腔内が清潔に保たれているかどうか歯医者でチェックすると同時に、普段の歯磨きに加えて、歯間ブラシやデンタルフロス、舌磨きなどをされることをおすすめします。
【胃からくる口臭】
胃からくる口臭の原因として、アルコールや臭いの強いにんにく料理などを食べたときや、空腹で胃が空っぽのとき、また、胃炎や胃潰瘍や逆流性食道炎など、胃に不調を抱えているときなどがあげられます。
にんにく料理のような臭いの強いものを食べた時は、牛乳を飲んだりリンゴを食べると臭いが消えると聞いたことはあるかと思いますが、より有効的なのは緑茶に含まれるカテキンや、柿渋に含まれるタンニンなどの消臭効果をもつ植物ポリフェノールだと言われています。
胃炎や胃潰瘍は、それ自体が口臭を引き起こすというものではありませんが、胃が消化不良を起こすことで体内で悪臭物質を発生させ、それが全身をまわって肺にたどりつき呼気として吐き出されることで、口臭に影響を与えることもあります。
また、胃が悪いと、口腔内の唾液が減少することもあり、それが口臭の原因になることもあります。口腔ケアをしても口臭が改善しないという場合に、一つの可能性として胃の不調も挙げられます。
【※参考ページ】 急性胃炎 / 慢性胃炎 / 神経性胃炎 / 胃潰瘍 / 逆流性食道炎
【腸内環境の悪化からくる口臭・体臭】
口臭・体臭の主な原因の一つとして、腸内環境の悪化も挙げられます。体内に入った食べ物の一部は、アンモニアや硫化水素に分解され、悪臭の強い物質へと変わりお腹の中に運ばれます。たどり着いたお腹の中の温度は高いため、スムーズに排便が行われずに不要なものが残ったままだと、便の悪臭が強くなったり、腸内の悪玉菌が増えて腸内環境をどんどん悪くします。
そこから発生した悪臭成分が体内に吸収され血液を通じて全身をめぐり、肺から口臭として、汗腺からは体臭として排出されます。腸の中をきれいに保つには、食物繊維を摂る、多めの水分を摂る、乳酸菌を摂るなどしてスムーズな便通を促し、悪臭物質を作らない体づくりをすることが必要です。
【汗による体臭】
夏になると沢山の汗をかき、汗臭さを気にする人が増えてきますが、実は汗そのもののニオイは殆ど無臭です。なのになぜ汗のにおいが出るかというと、人間の皮膚の表面に住んでいる常駐菌が、皮膚に出てきた汗や皮脂を自らの栄養分とし、分解しているからです。
汗をかきやすい夏場は、これらの菌が汗や皮脂を栄養に常駐菌がどんどん繁殖しているため、汗臭さが出やすいのです。そのように菌が繁殖すると思うと、汗をかくのがイヤになりますが、しかし汗をかくメリットというのもあります。
汗は体温が上がってきたときに体温調節として出ますので血行促進となりますし、体の老廃物排出(デトックス効果)や、むくみを取ったりという効果がありますので、ゆっくりお風呂につかったり体を動かしたりして、適度な汗をかくことがおすすめです。後はかいた汗が臭わないように、こまめに汗を拭きとったり、体臭がしやすい食生活(肉類や脂肪類の摂りすぎ)を改善するなどの心がけが大切です。
【ダイエット臭】
極端に食事量を減らしたり炭水化物を摂らないようにしてしまうと、体に入るエネルギーと代謝のバランスが崩れてしまい、その結果、基礎代謝が大きく下がってしまいます。基礎代謝が下がったまま運動もしないでいると、体の中で臭いを発生させる物質が燃焼されずに溜まっていき、それが汗や尿、皮脂と一緒に体外に出ることで甘酸っぱいようなケトン臭といわれる臭いを放ちます。
ケトン臭は一般的に、果物が腐ったような臭いともいわれており、かなり強烈に臭うこともあるので、無理な食事制限をしないように、またダイエットは適度な運動を伴うように、若い女性は注意が必要です。
【わきが】
汗は汗腺というところら出ますが、この汗腺には2種類あります。1つはエクリン腺、もう1つはアポクリン腺です。エクリン腺は体中に広く分布しており、一般的に【汗をかく】というときは、このエクリン腺から汗がでます。
一方、アポクリン腺は全身ではなく主に脇にあり、エクリン腺から出るサラサラで臭いが殆どない汗と違い、べたついた臭いを発しやすい成分の汗を出すので、このアポクリン腺が多い人ほど、いわゆる「わきが」の臭いを発しやすくなります。(わきがの臭いを出す細菌の栄養源がアポクリン腺から出る汗なのです。)
わきがの人は、お風呂からあがって1時間ほどですぐに臭ってしまうという人もいます。特に女性にとっては深刻な悩みですので、手術で治すことも可能のようですが、それ以外の対処としては、殺菌ができる石鹸を使う、身につけた洋服や布団カバーなどはこまめに洗う、殺菌シートなどで外出先でもこまめに脇を拭くなどがあげられます。
【加齢臭】
加齢臭とは主に30代以降の男性に発生する独特の体臭です。一般的には脂臭いとか、ロウソクや古い雑誌の臭いのような臭いといわれています。加齢臭は年齢とともに少しずつ発生しますので本人は気付きづらく、周りから指摘されて初めて気付く人が多いようです。
原因としては、加齢に伴い皮脂中にパルミトオレイン酸という成分が増加し、それが過酸化脂質や皮膚常駐菌によって分解されると、ノネナールという加齢臭をおこす成分が発生するからです。加齢臭というと一般的に男性に多いといわれますが、ノネナールは40代以降からは男女問わずに増加しますので、女性も油断はできません。
加齢臭は主に耳や首の後ろあたりから発生しますので、こまめに除菌シートなどで首回りを拭いたり、消臭効果のあるサプリメントを摂ったり、腸内の環境を健康に保つことも臭いづらい体にするために有効的です。
< まとめ >
人の臭いはとても不快に感じるものですが、それを本人に言うことは気がひけたりと、数ある体の悩みの中でも臭いに関してはどうしてもデリケートな問題に考えてしまいます。だからこそ、気付かないうちに自分が臭いと思われたりしないよう、普段からの臭いに関する気遣いは、むしろスムーズな人間関係のためには守るべきマナーといってもよいかもしれません。
今は様々な商品が販売されていますので、香水や口臭ガムなどで一時的にごまかすことも出来ますが、臭いをごまかすだけじゃなく何が原因かを考えて、臭いづらい生活習慣をすることが大切です。