悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化してリンパ節に増殖した悪性腫瘍です。同じリンパ球の増殖でも白血病の悪性腫瘍が血液や骨髄中で増殖するのに対して、悪性リンパ腫はリンパ節の中で増殖し、腫れたり腫瘤をつくります。
リンパ球は全身に存在しているので、全身の臓器や組織から発生する可能性があり、全身に拡がることもあります。悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫にわけられます。
●ホジキンリンパ腫
ソードシュテルンベルグ細胞がみられます。日本では悪性リンパ腫の10%程度と少ない病気です。頸部(けいぶ)の腫れがみられることが多く、他にもリンパ組織がはれることがありますが、痛みはありません。体重減少や発汗、熱は高熱と平熱を繰り返したりします。
●非ホジキンリンパ腫
悪性リンパ腫の90%が非ホジキンリンパ腫です。ホジキンリンパ腫にみられるリードシュテルンベルグ細胞はみられません。頸部や、わきの下、そけい部(足の付け根)などリンパ組織が集まったところが腫れますが、痛みはありません。
主な症状は、発熱、倦怠感(けんたいかん)、発汗、体重減少です。脾臓や胸部のりんぱ組織が腫れると、器官や臓器が圧迫されて息苦しくなることもあります。
いくつかの種類に分類されますが、腫瘍細胞の増殖の仕方によって濾胞性とびまん性があり、、細胞の種類によって、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫にわかれ、進行度と予後の点から、低悪性度群、中悪性度群、高悪性度群にわけられています。
<検査>
検査は、腫れているリンパ節の組織を針または切除して採取し、顕微鏡で病理検査〈生検〉します。ホジキンリンパ腫では、ソードシュテルンベルグ細胞が確認できます。詳しく診断する為にはCT検査、MRI、腹部超音波検査、X線検査、血液検査、骨髄検査を行います。検査で進行度〈T〜W期〉、種類を診断して治療を決めます。
<治療法>
ホジキンリンパ腫は早期に適切な治療を行うことで、70〜80%は治癒する病気です。非ホジキンリンパ腫の場合も治癒率(ちゆりつ)は高いのですが、悪性度群、高悪性度群に比べ、化学治療の効きにくいのが低悪性度群です。
治療によって、病気は抑えられるものの、長期間にわたって生存します。ホジキン、非ホジキンともに進行度によって放射線治療と複数の抗がん剤を併用した化学療法を単独、または併用して行います。
進行していた場合には多剤併用化学療法といって、数種の抗がん剤を組み合わせて使用します。主にアドリマシン・ブレオマイシン・ビンブラスチン・ダカルバジンの4種を組み合わせたABVD療法が行われています。