神経を包んでいる髄鞘(ずいしょう)が何らかの原因で壊され、神経細胞間の情報の伝達がうまくいかなくなり、脳や脊髄などの中枢神経に障害をきたす病気です。根本的な原因は未だ明らかにされていませんが、免疫異常からくるものとされ、発病率は人口5万人中で1人〜2人と言われています。
割合として女性に多い疾患です。病名の由来は期間をあけて症状が出たり治まったりを繰り返す〈多発性〉ことと、またそれをを繰り返すうちに病巣の神経組織が硬くなる〈硬化〉というところからきています。やっかいな病気ではありますが遺伝性は殆どありません。
<症状>
症状は何が出るのかはその病変の出る場所によって人それぞれに異なりますので、予測がつきません。一般的には目がかすむなどの視神経への支障や自律神経が侵されると尿障害をもたらすこともあり、その他部分的な体の痛みや痺れ、麻痺、などが挙げられます。
症状はわずかしか出ない方や、いくつも重く出る方など様々ですが、発病後しばらくは一般的に軽く済むようです。そして一旦おさまっても、何年後かに再発し、それを繰り返す程症状は重篤(じゅうとく)になりますが、100%の割合で必ず再発するものでもないようです。発病年齢の平均は30歳前後といわれています。
<治療法>
再発を確実に防ぐ方法は今のところありませんが、炎症を抑えたりする目的で副腎皮質ホルモンを用います。
また再発した際の症状の緩和にはインターフェロンも使用しますが、副作用もある薬ですので投与については患者の体調を見ながら調整されます。特効薬がありませんので、なるべく再発しないように日常生活の中で気をつけることは、
(1)免疫力を下げない生活と
(2)感染症の予防です。
(1)は例えばバランスの良い食事や適度な運動は不可欠であり、また睡眠不足はご法度です。(2)はカゼなどのウィルスに感染しないようにする事なので、特に冬季のうがいや手洗いは欠かせません。
あとは精神的なストレスも過剰な活性酸素を体内で発生させてしまい、結果的に免疫力の低下につながりますので、安定した規則正しい生活を心がけましょう。