体の運動を円滑に行うための神経伝達物質「ドーパミン」が減少することにより、震えや無動などの症状がおこる原因不明の病気です。
私たちの体は大脳と脊髄をつなぐ中脳に左右に二つ、黒質と呼ばれる黒く見える部分があり、その黒質では「ドーパミン」という物質が作られ、大脳の線条体に運ばれます。線条体はそうしたドーパミンなどの神経伝達物質を入出する事で刺激され体の運動を円滑に行うことが出来るようになります。
この黒質の働きが何らかの原因で悪くなるとドーパミンが足りなくなり、線条体が運動の伝達を出来なくなってしまいます。すると体の動きが鈍くなったり、無動が起こったりするのです。
黒質の働きが悪くなった原因が分からないものをパーキンソン病と呼び、その原因が分かっているものをパーキソニズムと言います。黒質の働きを悪くする原因として挙げられているのは、一酸化炭素や薬物の中毒・脳炎・MPTP(擬似薬物)などです。
パーキンソン病もパーキソニズムも同じドーパミン不足からくる病気で症状もほぼ同じなのですが、原因が分かるか分からないかでその病名も区別されているようです。パーキンソン病は40歳以降から徐々に発病し、遺伝性はほとんど心配ないようです。
<症状>
パーキンソン病の症状は初めは無意識に動作や歩き方が変わったりすることで、本人に自覚は少なく周囲の人が異変に気づくこともあります。またふと気づくと自分の手が震えており、それに気づくと震えがピタッと止まる事もあります。そういうところから始まり徐々に進行するのですが、その症状は主に5つに分けられます。
(1)震戦
安静にしていても震えが続きます。初めは時々ですが進行に伴って持続的になります。
(2)固縮
他人が手足の曲げ伸ばしをする時に関節に強い抵抗を感じます。本人に自覚はない症状です。
(3)無動
ひとつの姿勢をとらせるとそのまま何十分も同じ姿勢をとり続け、全く動かなくなります。
(4)姿勢反射障害
歩行時には手を振らずに歩き、転びそうになっても手が前に出ずそのまま倒れます。
(5)自律神経障害
便秘や立ちくらみや足のむくみなどの症状が出ます。
パーキンソン病はその症状を緩和させる薬もありますので、治療の基本は処方された薬を正しく服用することと運動面でのリハビリテーションが重要になります。