腫瘍が発生する場所によって上咽頭・中咽頭・下咽頭にわけられます。
【上咽頭がん】
上咽頭にできるがんで、40〜60代の男性に多くみられます。上咽頭は耳や脳に近いので、腫瘍ができると神経を圧迫し、障害がおこります。初期には片方の鼻つまりや、鼻汁が臭い、進行すると、耳が塞がった感じや聞こえが悪くなります。脳神経に及ぶと、頭痛や視力障害がおこり、転移すると首のリンパ節が腫れてきます。治療は放射線治療、化学療法を行ないます。
【中咽頭がん】
口を開けて舌を押さえるとみえるところが中咽頭です。中咽頭にはリンパ組織からなる扁桃があり、悪性腫瘍ができやすいところです。50〜60代の男性に多く、主に扁平上皮がんと悪性リンパ腫がみられます。中咽頭がんが多い国や地域を見てみると、強い酒を飲んだり、酒量の多いことから何らかの関与があると考えられています。
進行すると、潰瘍をおこしたり隆起して、嚥下や開口時に痛みが生じます。全身に転移すると、生命に関わる病気です。早期に発見し、扁平上皮の場合は放射線治療と手術を行い、悪性リンパ腫の場合は放射線治療と化学治療を併用します。
【下咽頭がん】
下咽頭は食道をつながった部分で、下咽頭がんはここに腫瘍ができたものです。初めは、のどの不快感程度で、あまり自覚症状がないため、気づいたときには進行していることが多くみられます。
症状は嚥下痛、首のリンパ節が腫れ、かすれ声です。下咽頭の中でも、梨状陥凹(りじょうかんおう)にできるがんは男性に多く、喫煙や飲酒の多い人ほど発ガンリスクが高くなります。
これらはあまり関係なく、特に鉄欠乏性貧血にかかりやすい女性は輪状後部(りんじょうこうぶ)がんのほうが多いようです。治療は放射線と手術を行いますが、早期発見、早期治療が必要です。