肺がんは肺に発生する悪性腫瘍です。肺がんには小細胞がんと非小細胞がんがあり、非小細胞がんは腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどの組織型に分類されます。また、部位によって、肺の末梢に発生する「肺野型」と肺の入り口に発症する「肺門型」に分かれます。
肺がんの約半数を占めているのは腺がんで、「肺野型」が多く、次に多い扁平上皮がんは「肺門型」がほとんどです。大細胞がんの割合は少ないものの、細胞の増殖が早いので、早期発見は困難です。小細胞がんも増殖が速く、転移しやすい悪性の肺がんです。
<原因と症状>
がんは、遺伝子が何らかの原因によって傷つけられておこる遺伝子の異常と考えられていますが、その「何らかの原因」ははっきりしていません。しかし、肺がんはたばこによる影響が大きいと言われています。喫煙者の中でも特に、1日の本数×喫煙年数=400を超えている人は、要注意です。
他にも危険因子は大気汚染やヒ素などがあります。肺門型の症状は咳、痰、血痰が早くから出ることもありますが、初期の段階では自覚症状がありません。気づいたときには、進行していたということがほとんどです。がんが大きくなると、神経や器官を圧迫し、様々な症状があらわれます。
<治療法>
検査は胸部のX線検査、痰検査でがんの有無を調べ、さらに詳しく部位や広がりを診るためにCT検査、MRI検査、気管支鏡検査を行います。気管支鏡検査は、胃カメラよりも小さな内視鏡を使って肺の内部を見たり、一部を摂取して細胞を顕微鏡で調べます。
検査の結果をもとに病期や患者さんの状態によって、治療法を決めていきます。早期がんの場合は手術で病巣を含む肺の切除と周囲のリンパ節を切除します。がん細胞はリンパ節に転移しやすい為、周囲のリンパ節を切除することで、全身への転移を防ぎます。
手術は腹腔鏡手術によって、術後の傷も小さく、痛みも軽減されるようになりましたが、場所によって腹腔鏡が使えない場合は、従来どおり開胸手術を行います。中期から末期の場合は、放射線治療と化学療法〈抗がん剤〉を行います。肺ガンの中でも小細胞がんは抗がん剤によく反応するため、治癒の確率は高くなります。