急性肝炎はウイルス感染による肝障害です。原因となるウイルスの種類で、A型急性肝炎、B型急性肝炎、C型急性肝炎、D型急性肝炎、E型急性肝炎、その他にわけられます。その中で、多いのはA型、B型、C型肝炎です。
【 A型急性肝炎 】
衛生管理が整っていない地域で、ウイルスに汚染された生水や食事を摂取することから経口感染し、さらに感染者の糞便が下水道を通して貝類に感染します。特に生カキに多く、それを生食し感染するといった循環がおこります。
1ヶ月ほどの潜伏期間を経て発病し、高熱、食欲低下、吐き気、嘔吐、胃の不快感、倦怠感が起こり、5,6日で体や白目部分に黄疸が現れます。衛生環境の向上につれて減少しましたが、以前は日本でもA型肝炎は珍しい病気ではなく、高齢になるにつれてA型肝炎に対する抗体含有率は高くなります。
特に治療は行いませんが、肝機能が回復するまで入院して安静にすることが大切です。1ヶ月位で完治し、慢性化することはありませんが、まれに生命にかかわる意識障害を伴う劇症肝炎(げきしょうかんえん)をおこすことがあります。
【 B型急性肝炎 】
B型肝炎ウイルスは、B型肝炎感染者の血液を介して感染することが多く、B型肝炎感染者の母親から胎盤を通して胎児に感染したり、家族間での感染、または異性との性行為による感染があります。
以前多かった輸血での感染は、提供者に対してB型肝炎の検査を行い、B型肝炎ウイルスに対する肝炎ワクチンやB型肝炎グロブリン製剤も普及したため、ほとんどありません。1〜3ヶ月の潜伏期を経て発症しますが、特に症状はなく、熱が出ても、A型より高熱が出ることはありません。
通常2,3ヶ月で治癒し、B型肝炎に対する免疫を得る一過性感染ですが、ウイルスが消失せず、持続的に残存すると慢性肝炎を起こします。また、劇症化すると生命に関わることもあります。
【 C型急性肝炎 】
C型肝炎ウイルスが原因です。B型と同様、C型肝炎感染者の血液や体液を介して感染します。経路としては輸血、注射針、入れ墨などで、以前は輸血による感染経路が多かったのですが、輸血の提供者に対してC型肝炎ウイルスの抗体を調べる血液検査(スクリーニング検査)を実施するようになってから減少してきました。
また、B型に比べて母子感染や性行為による感染率は高くありません。2〜16週間の潜伏期間後発症しますが、症状はほとんどないので、検査を受けて偶然発見されたと言う場合があります。
また、C型急性肝炎の6割以上が慢性肝炎へ移行し数%は劇症化するため、気づいたときは肝硬変になっていたということもあります。C型肝炎に関しては、ウイルスの増殖を防ぐインターフェロンが有効にはたらく場合があります。