胃は食べ物を消化する為に強い胃酸を分泌しており、胃の粘膜は胃酸から粘液によって守られています。正常な胃は胃酸と粘液の分泌が均等に行われていますが、胃潰瘍はストレスなどの影響を受けて、これらの分泌のバランスが崩れ、胃粘膜が胃酸によって傷つけられ欠損した状態です。
また、最近では胃に生息することができるヘリコバクター・ピロリ菌感染により、胃の粘膜に炎症を起こし潰瘍(かいよう)をつくることがわかっています。再発を繰り返す場合は、ピロリ菌の関与が高くなります。
主症状は心窩部(みぞおち)の痛みや胸やけで、食事中や食後に起こります。ひどい潰瘍では、欠損が筋層まで達し、さらに進むと穿孔(せんこう)ができます。出血が起こっていれば、黒っぽい血を吐いたり便が真っ黒になります。
<検査>
バリウムによるX線検査と内視鏡検査を行います。X線検査では潰瘍の大きさや周囲の粘膜の状態などを観察し、確実な判断には内視鏡検査を行います。内視鏡検査では潰瘍の進行度、出血の有無を確認することができ、がん細胞がないか粘膜の一部を顕微鏡で調べます。
(生検)内視鏡は出血がある場合にクリップで留める、焼いて瘢痕(はんこん)を作る、薬物で凝固させるなどの止血処置の際にも有効です。
<治療法>
原因がストレスならば、規則正しい生活とストレス解消が第一です。H2ブロッカーなど胃酸の分泌を抑える薬を服用しながら、なるべく刺激の強い食べ物は避け、飲酒や喫煙も症状を悪化させるため、原因としての因果関係は低くても、控えなければいけません。
ピロリ菌感染の場合は除去治療を行います。痛みがひどくても、消炎鎮痛薬は胃の粘膜を傷つけ、潰瘍をつくることがあるので、自己判断せずにすぐに受診しましょう。