骨折とは、骨の一部や全部にヒビが入ったり折れたりすることです。骨折の原因の多くは、骨の強度以上の負荷がかかった時におこり、その症状として痛みや患部周辺組織の腫れ、内出血が挙げられます。
また、ひとくちに骨折といってもその症状によって、気付かないような小さなヒビから生命にかかわるような大きな骨折まであり、それにより病名は細かく分類されます。その中で一般的に耳にしやすいものとして以下のようなものがあります。
<原因・症状>
●完全骨折と不完全骨折
完全骨折とは骨の組織が完全に断たれていること(ポッキリと2つに折れてしまった状態)を言います。逆に不完全骨折とは骨の組織の一部に連続性が保たれている状態のことで、一般的には「ヒビが入った」ことを言います。
●剥離骨折
剥離骨折とは筋肉や腱の収縮する力によって、その接合部分の骨の一部がはがれてしまう事をいいます。一般的には剥離骨折は、運動などの激しい動きの中で手足に起こることが多く、急激に動かせなくなるほどに痛むものではないケースもあるため、病院で検査を受けるまでは捻挫だと勘違いしていた、なんていう事もあります。
捻挫と勘違いして放置したり自己流のテーピングなどでは、治癒しても骨がいびつな形で固まってしまったり、同じところの剥離骨折を繰り返すこともあるので、自己判断せずに病院できちんと治療を受けることが大切です。
●疲労骨折
疲労骨折とは、骨の特定の箇所に集中して負担がかかり続けることにより、骨の表面に小さなヒビが入ってしまうことをいいます。ランニングやスポーツなどによる過度の負担が原因の場合が多いため、疲労骨折を起こしやすい年齢も小学生〜10代半ばまでが一番多いようです。
症状としては、痛みはあるものの完全骨折のような激痛ではないため、疲労骨折とは気付かずについ無理をしがちですが、あまり痛みを我慢して運動を続けると、痛みが慢性化したり、ヒビが増えたり、場合によっては完全骨折になることもあるため、運動中に骨の痛みや足の腫れを感じたら、しばし運動は中止して患部をゆっくりと休ませることが大切です。
●圧迫骨折
圧迫骨折とは、骨に過度の重力が加わることにより骨がつぶれ、骨折をおこしてしまうことです。骨密度が低下していると骨自体の強度も低下するため圧迫骨折を引き起こす原因になりやすく、そういう面では主に骨粗鬆症の高齢者に多く見られます。
重度の骨粗鬆症になると、大きな負荷を与えなくても自然と圧迫骨折を起こすこともあり、それを何度も繰り返すと背骨が曲がり、背中が丸くなってしまうこともあるため、予防として、骨密度を下げないような効率的なカルシウムの補給などが必要です。
●複雑骨折
複雑骨折とは、骨折した骨が皮膚から飛び出してる状態の骨折をいいます。骨がそのまま外気に触れているため感染症を起こしやすく、早急の手術が必要となります。
通常の骨折と比べて治療が複雑なため、複雑骨折という病名がついていますが、実際には医療現場では「開放骨折」とも呼ばれているようです。ちなみに複雑骨折というと一般的にイメージされる「骨が複雑に幾重にも折れている状態」のことは粉砕骨折といいます。
<治療法>
骨折の治療はその部位や状態によって異なりますが大きく分けて、つり包帯やギブスによる「固定」、骨の位置を正常に戻すために重りがついた器具などで骨折部を引っ張る「けん引」、骨が皮膚からとびだした複雑骨折や固定やけん引だけは治癒が難しい粉砕骨折などには「手術」を用います。
いずれにしても骨折の治癒には、数週間から数カ月と長い期間の固定や安静が必要なため、それに伴う筋力の低下や関節の硬直を回復させるために、治療と並行してリハビリテーションが行われます。リハビリは自己流で無理に動かしたりするとかえって悪化することもありますので、医師やトレーナーの指示のもとに正しく行うことが大切です。
骨折の完治までの期間は部位や年齢によって大きく異なりますが、一般的には4週間で骨がくっつき、その後リハビリを行い、骨折前のように動かせるようになるまでは6〜12か月といわれています。