皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織にわかれ、さらに表皮は角質層、顆粒層(かりゅうそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層からなります。皮膚がんは、この表皮の細胞ががん化したもので、毛包、脂腺、汗腺などの皮膚付属品に発生することもあります。
特に多いのが、基底細胞がんと有棘細胞がんです。また、基底細胞層にある色素細胞からできる悪性黒色腫があります。
<種類>
【基底細胞がん】
基底細胞がんは、表皮の基底層や毛包の細胞ががん化したものです。主に上下のまぶた、鼻、口唇にちょうどほくろのような光沢がある黒い小隆起(しょうりゅうき)ができます。次第に大きくなって、中心は潰瘍をつくり、その周囲は堤防状に隆起します。
痛みなどの症状はありませんが、進行すると、皮膚だけでなく骨などに浸潤(しんじゅん)することがあります。しかし、多くの場合は経過も良好で、内臓やリンパ節の転移もみられません。原因は、直射日光(紫外線)の影響が高いと考えられています。
【有棘細胞がん】
赤みをもった皮疹ができ、徐々に大きくなってカリフラワーのような腫瘍の形になり、出血しやすい状態になります。また、中には中央に潰瘍をつくったり、びらん状を形成するものもあります。痛みなどの自覚症状はありませんが、多くはリンパ節に転移し、進行すると悪臭をもちます。
原因は直射日光(紫外線)と考えられていますが、放射線による皮膚炎ややけど後におこることもあり、「ヒト乳頭腫ウイルス」の関与も考えられています。
<治療法>
【基底細胞がん】
検査は皮膚生検を行い、さらに詳しく診断するには超音波検査、CT、MRI検査を行います。基本的に基底細胞がんの場合は、外科療法による病巣や周囲の切除を行います。切除範囲が広範囲におよぶ場合には、他の部分の皮膚で補います。
顔の場合、変形を防ぐために切除範囲を狭くすると、再々発は高くなります。【有棘細胞がん】検査は皮膚生検の他、がんの状態や拡がり、転移など詳しい情報を得る為に、レントゲン検査、超音波検査、CT、MRIを行います。治療法は以下の通りです。
1.外科療法
病巣とその周囲を深さ、幅ともに再発を防ぐために広範囲で切除し、皮膚の欠損が大きい場合は他の部分の皮膚で補います。
2.凍結療法
低温ガスでがんを凍結させ、壊死させる方法です。
3.放射線療法
有棘細胞がんは放射線療法がよく効くがんのひとつです。照射後、皮膚が発赤したり、発疹が出来ることがあります。
4.化学療法
外科療法が出来ない場合は化学療法が中心となりますが、手術前に使用することで、がんの縮小をはかったり、放射線と併用して用いられます。しかし、頭痛、吐き気、食欲不振、脱毛などの副作用を伴います。