ベーチェット病は厚生省の特定疾患医療に認定されており、世界的にみると、シルクロードに沿った地域に発症していることから、シルクロード病とも言われています。現在では膠原病(こうげんびょう)の一種とされ、20代後半〜40代にに多くみられます。
主に目、皮膚、粘膜に急性に炎症をおこし、繰り返しながら慢性化し、腸管、血管、神経に症状があらわれる場合は生命に関わることもあります。原因は不明ですが、患者の多くがHLAB-51という組織性抗原をもっていることがわかっており、何らかの関与があると考えられています。
<症状>
-------- 主症状 --------
・ アフタ性口内炎口腔内の粘膜に1〜数個の潰瘍(かいよう)ができます。潰瘍の周りは赤くなり、痛みを伴います。小さいものは一週間ほどで治りますが、再発するのが特徴です。
・ 発疹 結節性紅斑〈下肢に赤い発疹(紅斑)ができて、患部にしこりがある。〉や発疹ができて、血栓性静脈炎をおこします。また、刺激に弱くなり、かみそりまけして発疹ができます。
・ 目の炎症 虹彩毛様体炎(こうさいもうようたいえん)、ぶどう膜炎などの炎症がおこり、進行すると視力低下が進み、失明に至ります。
・ 外陰部の潰瘍 外陰部に痛みを伴う潰瘍ができ、1ヶ月ほどで自然に治ります。※上記症状の4つに当てはまる場合は「完全型」、3つ以下の場合は「不完全型」といいます。
-------- 副症状 --------
・ 関節炎 主に膝などの大きな関節に炎症をおこし、痛みや腫れがあらわれます。
・ 副睾丸炎 男性の場合、睾丸の上にある副睾丸に炎症をおこし、腫れや痛みがあります。
・ 腸管病変(腸管ベーチェット) 消化管におこる病変で、特に小腸と大腸のつなぎ目である回盲部(かいもうぶ)に潰瘍が多発し、腹痛や出血があります。
・ 血管病変(血管ベーチェット) 動脈・静脈に炎症がおこり、動脈の場合は動脈瘤をおこし、静脈の場合は血栓をつくって閉塞をおこします。
・ 神経病変(神経ベーチェット)中枢神経が侵され、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行していきます。頭痛や運動麻痺に加えて、精神症状があらわれます。
<予防法>
比較的、予後は良好ですが、中には後遺症が残ったり、眼病変による失明、神経ベーチェットや動脈瘤により生命に関わる場合もあります。治療はこれらの予防と症状を抑えることが目的です。ベーチェットに対しては、副腎皮質ステロイド薬を用います。
眼病変には散瞳剤(さんどうざい)や副腎皮質ステロイドの点眼、コルヒチン、シクロスポリンの内服します。また、炎症による病変には非ステロイド性消炎薬を内服します。